耐震性能3がおすすめ
耐震等級とは、建物が地震に対してどれだけの耐力があるのかをランクづけるための指標だ。
等級は1~3の三段階になっており、数字が大きいほど耐震性が強い建物であることを示す。
それぞれのランクごとの強度については、以下のとおり。
住宅性能表示基準の耐震等級
- 耐震等級3・・・建築基準法の1.5倍の建物強さ
数百年に一度程度発生する地震力の1.50倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度の強さ - 耐震等級2・・・建築基準法の1.25倍の建物強さ
数百年に一度程度発生する地震力の1.25倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度の強さ - 耐震等級1・・・建築基準法レベルの建物強さ
数百年に一度程度発生する地震力に対して倒壊・崩壊しない程度の強さ
壁量計算
筋違などの耐力壁を立面図と平面図、屋根の重さを基に配置する方法で、木造2階建てまでで一般的に使われる簡易計算の方法。2000年の法改正後に壁のバランスを取る事と柱の接続強度を検討するN値計算が組み込また。しかし、耐力壁の配置までは指示が無く、かつ骨組みを考慮しないため信頼性の低い計算となる。
許容応力度計算
筋違などの耐力壁の他に柱の位置や梁の大きさ、荷重のかかり方、建物のゆがみ、バランス、上下階の直下率などを考慮して計算する。そのため、立面図と平面図の他に矩計図・構造図(柱・梁の骨組み)・基礎伏せ図・仕様書(屋根材・外壁材等)・地盤調査報告書が必要になり、時間も費用もかかってしまう。
制震と免震について
制振構造は、地震の揺れを吸収する振動軽減装置(ダンパー)が壁の内部などに備えられた住宅構造を指す。建物の揺れによって生じる歪みをダンパーが吸収するため、強い地震に襲われても建物が倒壊しないだけでなく、柱・梁・壁の損傷を最小限に抑えられる。制振構造の優れた住宅に住んでいる人は、実際の揺れよりも小さい揺れしか感じない。居住者は地震の恐怖感も少なくて済み、安心して生活できる。
免震構造は、建物が土台に直接据え付けられず、建物の底部と基礎の間に免振装置を備える住宅構造だ。建物と基礎の間に設置される免振装置は、積層ゴムやダンパーといった免震部材で、地面が揺れても免震部材が揺れを吸収するので、建物に揺れを伝えない。球状の免振部材の上を建物が左右に移動することで横揺れを抑えるタイプもある。地面から断絶された建物は、大きな地震でも居住者が足元をすくわれるような揺れを感じずに済む。
予算に余裕がある場合は、考えてもよいと思うが、保険的なものだと考えるため、自分だったら、採用しないかなと思っている。
熊本地震の実績
熊本地震でも「耐震等級3」の木造住宅は倒壊なかった。3日の間に震度7の地震が2回観測された2016年の熊本地震では、建築物に甚大な被害が発生した。しかし、耐震等級3の木造建築物の倒壊数はゼロ。熊本地震でとくに被害が大きかった益城町とその周辺地域では、木造住宅の実に15.2%(297棟)が倒壊・崩壊、11%(230棟)が大破した。無被害だったのは、わずか21.2%(414棟)のみだ。現行の建築基準法に適合しているとされる木造建築物も、2.3%(7棟)が倒壊。4%(12棟)が大破してしまった。その一方で、耐震等級3の木造建築物にいたっては、倒壊も大破もゼロで、軽微な小破が2棟のみだった。このことから、旧耐震基準より新耐震基準、そして新耐震基準の中でも、耐震等級3の耐震性と安全性の高さが証明されたことになる。
耐震で力をかける順番
建築を依頼するハウスメーカーや工務店に依頼することになると思うが、以下が優先順位だと考える。
- 地盤改良: 建物の基礎の安定性は地盤に大きく依存するため、地盤の安定性を確保する。
- 基礎の固め: 基礎をしっかりと固めることが、建物の安定性を向上させる。
- 許容応力度計算で耐震等級3に設計: 許容応力度計算を行い、建物を耐震等級3に設計する。これにより、建物が地震に対して適切に耐えられるようになる。
- 耐力壁の配置: 許容応力度計算をもとに、バランスよく耐力壁を配置する。
- 耐震壁や補強材の設置: 耐力壁と柱・梁の配置が決まったら、耐震壁や補強材を追加する。
- 柱や梁の適切な配置: 柱が集成材か無垢か検討する。
- 制震装置の導入: 最後に、制震装置の導入を検討する。